【2026年施行】共同親権で何が変わる?改正民法の注意点37選を弁護士がQ&A解説

【2026年施行】共同親権で何が変わる?改正民法の注意点37選を弁護士がQ&A解説

Ⅰ 共同親権か単独親権か

主に次の5点です。

  1. 親の責務等に関する規律を新設
  2. 親権・監護等に関する規律の見直し
    離婚後の親権者に関する規律を見直し
    親権行使に関する規律を整備
    監護の分掌に関する規律等を整備
  3. 養育費の履行確保に向けた見直し
  4. 安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
  5. その他(財産分与・養子縁組に関するルール等)の見直し

また、養育費等に関する経過措置は、次のとおりです。

  • 養育費債権の先取特権
    施行日前に養育費等の取決めがされた場合には、施行日以後に生じた各期の定期金に適用される
  • 法定養育費
    施行日前に離婚した場合等には適用されない
  • 親権者変更
    施行日前にされた親権者変更の申立てについて、家庭裁判所が判断をする時期が施行日後となる場合には、単独親権から共同親権への変更が可能

令和8年4月1日です。

令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました(同月24日公布)。

この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直すものです。

改正民法により、親権について、単独親権に加え共同親権が導入されることになりました。令和7年10月31日の閣議決定で、令和8年4月1日に施行されることが決まりました。

いいえ。

新民法819条1項は「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。」と定め、同条2項は「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の双方又は一方を親権者と定める。」と定めています。

このように、すべての夫婦が強制的に共同親権になるのではなく、単独親権か共同親権かを選択する制度となっています。

いいえ。

共同親権となった場合でも、具体的な子どもの監護のあり方は、別途、子どもの利益を最も優先して、協議等により、決めることになります。子どもが、父、母、双方の家で養育されることもあれば、どちらか一方の家で養育されることもあります。

いいえ。

共同親権となった場合でも、具体的な子どもとの親子交流のあり方は、別途、子の利益の観点から、決めることになります。

いいえ。

共同親権か単独親権かという違いで、支払う養育費の額が変わるわけではありません。共同親権か単独親権か、ということとは別に、別途、子の利益の観点から、定められることになります。

はい。

兄弟がいる場合も、それぞれの子どもごとに、その子の利益の観点から、決めることになります。

あります。

改正民法施行後、元配偶者は、家庭裁判所に親権変更の申立てをすることができ、裁判所が共同親権を認めれば、元配偶者は共同親権を持つことになります。

改正民法819条6項は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる。」と定めています。したがって、元配偶者のほか、子ども自身や祖父母も、親権変更の申立てをすることができます。

考慮してくれます。

改正民法819条7項は、裁判所が親権について「(前略)判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならない。(後略)」と定めています。

このように、父母の一方が子どもの養育に関する責任をこれまで十分に果たしてきたかや、父母相互の人格尊重、協力義務を遵守してきたかも、考慮要素の一つと考えられています。また、当事者の意見を考慮することや、子どもが意見を表明した場合にはその意見を適切な形で考慮することも含まれています。

いいえ。このような場合には、単独親権となります。

改正民法819条7項は、「裁判所は、第二項又は前二項の裁判において、父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならない。この場合において、次の各号のいずれかに該当するときその他の父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない。
一 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。
二 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次項において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無、第一項、第三項又は第四項の協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。」と定めています。

父又は母が子どもに対して虐待をしており改正民法819条7項1号に該当する場合や父又は母が他方配偶者に対して暴力等を振るうおそれのあるケースで同条同項2号に該当する場合には、単独親権としなければなりません。

この改正民法819条7項1号2号は例示ですので、これに該当しない場合でも、裁判所は、「父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるとき」は、単独親権としなければなりません。

いいえ。

身体的DVだけでなく、精神的DV、性的DV等によって、父母が互いに話し合うことができない状態にある場合等、親権の共同行使が困難な場合も、この要件に当てはまることがあると考えられています。

いいえ。

診断書があれば証拠の一つとして考慮の対象になるでしょう。

もっとも、改正民法819条第7項各号の「おそれ」の判断は、個別の事案ごとに総合考慮されることになっています。診断書があれば必ず単独親権が認められるということではありませんし、なくても単独親権が認められることはあります。

いいえ。必ずしも共同親権になるわけではありません。

改正民法819条7項2号は、単独親権としなければならない事由の例示として、「父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次項において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無、第一項、第三項又は第四項の協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。」と定めています。

関わりたくない、口も聞きたくない、という状況で、裁判所が親権の共同行使を強制することは意図していません。父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときには、必ず単独親権としなければならない、としています。

いいえ。必ずしも共同親権になるわけではありません。

親権者変更の判断において、元配偶者が養育費の支払のような子どもの養育に関する責任をこれまで十分果たしてきたかどうかは、重要な考慮要素の一つであると考えられています。元配偶者が、本来であれば支払うべき養育費の支払を合理的な理由なく怠っていたという事情は、共同親権への親権者変更が認められない方向に働く事情です。

Ⅱ 親権の行使方法等

いいえ。ありません。

改正民法824条の2は、新しくできた条文で、以下のとおりです。

第八百二十四条の二 親権は、父母が共同して行う。ただし、次に掲げるときは、その一方が行う。
一 その一方のみが親権者であるとき。
二 他の一方が親権を行うことができないとき。
三 子の利益のため急迫の事情があるとき。

2 父母は、その双方が親権者であるときであっても、前項本文の規定にかかわらず、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独ですることができる。

3 特定の事項に係る親権の行使(第一項ただし書又は前項の規定により父母の一方が単独で行うことができるものを除く。)について、父母間に協議が調わない場合であって、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、父又は母の請求により、当該事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができる。

  1. 身上監護に関する行為
  2. 財産管理に関する行為
  3. 身分行為の代理

の3つです。

いいえ。

改正民法824条の2は、改正前の民法を明確化する趣旨で設けられたものですので、従来の親権の単独行使の可能な範囲が制限されるものではありません。

いいえ。

父母の共同の意志での決定には、父母の共同の名義で親権を行使した場合だけではありません。

父母の一方が、他方の同意を得て、単独名義で親権行使をする場合もあります。この場合、黙示の同意でも構いません。そのため、契約書等への父母の一方の署名で、他方の黙示的な同意が推定されるとして扱われることもあります。

父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては、適時に親権を行使することができず、その結果として、子どもの利益を害するおそれがあるような場合をいいます。

例えば、次のような場合が挙げられます。

  • DVや虐待から、避難(子どもの転居などを含む)をする必要がある場合。
    実際に、DVや虐待の被害にあっているときやその直後だけではなく、加害行為が現に行われていない間も、含まれます。
  • 子どもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
  • 入外試験の結果発表後に入学手続きの期限が迫っているような場合
  • 父母間の深刻な意見対立等により、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時の親権行使ができないというような事情があるような場合

日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子どもに重大な影響を与えないものを指しています。日常行為に該当すると考えられている行為には、例えば次のようなものがあります。

  • 子の食事や服装、髪の色、人付き合い
  • 短期間の観光目的の旅行
  • 就学時の健康診断の受診
  • 学校給食に係る手続(給食費の納付、アレルギーに係る連絡等)
  • 出欠の連絡、個々の教育活動(宿泊活動、水泳授業、その他の学校行事等)への参加の同意の意思表示
  • 学校が行う教育相談への対応(家庭訪問、三者面談への出席等)、子の学校生活に関する照会
  • 運動会や卒業式等、学校が児童生徒の保護者に参加を呼びかけた学校行事
    もっとも、父母が学校行事の現場で高葛藤状態にあり、参加が学校行事の運営に混乱をきたす可能性が高いといった理由がある場合などには、学校が学校管理の観点から行事参加を制限することがあります。
  • 子どもの習い事
  • 子どものアルバイト
  • 心身に重大な影響を与えない医療行為
  • 通常のワクチン接種

日常行為に該当しないと考えられている行為には、例えば次のようなものがあります。

  • 子どもの転居
    その移動距離にかかわらず、通常は、子どもの生活に重大な影響を与え得るため、同一学区内の転居も含めて、基本的には日常の行為には該当しません。
  • 入学、退学、転学、留学、休学等手続(願書の提出、初年度や毎年の授業料の納付、退学に関する申請等)
  • 就学校変更の申立て、就学校に関する意見聴取への応答、区域外就学の手続
  • 特別支援学校への就学に関する意見聴取への応答
  • 就学義務の猶予・免除に関する申請
  • 出席停止の命令に関する意見聴取への応答
  • 長期間の交換留学制度、ホームステイ制度への参加
  • 子どもの就職
  • 心身に重大な影響を与える医療行為

原則として、必要です。

いいえ。

共同親権の場合でも、単独で親権行使ができる改正民法824条の2第1項3号の「子の利益のため急迫の事情」に該当し得るため、必ずしも必要ではありません。

はい。

共同親権の場合でも、単独で親権行使ができる改正民法824条の2第2項「監護及び教育に関する日常の行為」には、該当しないものと考えられています。

  • 子ども名義の預貯金口座の開設
  • 子どもに対し債務を負担させる契約の締結
  • 子どもの所有する財産の処分

などがあります。

子どもの氏の変更手続などがあります。

はい。必要です。

Ⅲ 共同親権をめぐるその他の問題

いいえ。必ずしもそうではありません。

共同親権と養育費の支払は、別の問題です。

いいえ。

親権の有無に拘わらず、別居親は子どもに対する扶養義務があり、元配偶者に対して養育費の支払義務があります。

あなたと元配偶者のままです。

はい。必要です。

15歳未満の子どもを養子とする縁組については、親権者が子どもに変わって承諾(代諾)をすることとされています(民法797条第1項)。

父母の一方が縁組に反対している場合には、代諾について、改正民法824条の2第3項の「特定の事項に係る親権行使者を定める審判」を申し立てることになります。

改正民法797条第4項は、「第一項の承諾に係る親権の行使について第八百二十四条の二第三項に規定する請求を受けた家庭裁判所は、第一項の縁組をすることが子の利益のため特に必要であると認めるときに限り、同条第三項の規定による審判をすることができる。」と定めています。

『子の利益のために特に必要』と要件が加重されており、元配偶者が親権者としての権利義務を失うことを考慮しても、なお養子縁組を成立させる必要があるといえることが必要です。

改正民法施行前は、元配偶者の同意を得ることなく養子縁組ができていましたが、改正民法施行後は、元配偶者が共同親権を持っている場合、養子縁組が認められにくくなっていますので、注意が必要です。

改正民法818条第3項により、父母の一方の配偶者と養子縁組が成立した場合には、養親とその配偶者である実親が共同親権者となり、他方の実親は親権者ではなくなります。

Ⅳ 共同親権と行政手続

いいえ。受けられます。

ひとり親家庭支援とは、ひとり親家庭等日常生活支援事業、自立支援教育訓練給付事業、高等職業訓練促進給付金等事業、ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業、母子節寡婦ふくし資金貸付等をいいます。

これらは、母子及び父子並びに寡婦福祉法や各種事業の実施要項に置いて、親権の有無にかかわらず、配偶者のない者で現に児童を扶養している者等を支援の対象者としています。離婚後の父母双方が親権者であっても、対象者の取扱いに影響はありません。

いいえ。受けられます。

児童扶養手当は、民法上の親権や監護者の定めの有無にかかわらず、子どもを監護している実態があるか否かでその支給対象者を判断しています。ですので、共同親権となった場合でも、子どもを監護している実態があるか否かで、手当の支給対象者が判断されます。また、所得制限の所得算定については、受給者本人の所得によるとされており、共同親権となっても影響はありません。

はい。できます。

未成年の子どもに関する住民票に係る転入・転出等に係る届出については、改正前の婚姻中であっても、現に届出を行っている者の代理権等を確認して処理されています。その際に、父母双方の同意は求めておらず、改正民法施行後も、その取扱いは変わらないとされています。

いいえ。

日本学生支援機構の奨学金制度における家計基準(収入要件)は、「生計維持者」の収入等の状況に基づいて判定することとされています。生計維持者は原則として父母の2名です。

離婚等により父又は母と本人が別生計となっている場合などについては、これまでも、親権の有無にかかわらず、学生等の事情に応じて判定することとされています。ですので、離婚後共同親権となっても、取扱いに変わりはありません。

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