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民事執行法の改正による子の引き渡し執行方法の変更について,教えてください。
これまで,民事執行法には,子の引き渡しの強制執行に関する規定はありませんでした。
実務では,間接強制(簡単に言えば,債務者に金銭の支払義務を課し,間接的に子の引き渡しを強制する方法です)のみ認容されてきましたが,東京地方裁判所では,平成16年頃から直接強制(執行官等が子を執行を求めた親に引き渡す方法)を認容する運用がされるようになっていました。
平成26年,我が国はハーグ条約を締結し,ハーグ条約実施法が施行されました。その施行後は,子の引き渡しについても,ハーグ条約に準拠して運用されるようになりました。
しかし,ハーグ条約は,子の引き渡しの際に,子を引き渡さなければならない方の親が存在する場が引き渡しの場とされていたため(同時存在の原則),強制執行を実施しても,ほとんど執行不能に終わるのが実情でした。
このような実情を踏まえ,民事執行法の改正に伴い,子の引き渡しに関する執行についても,見直しがされました。
具体的には,子の引き渡しを認める審判等を受けた親は,間接強制を原則として優先させ,場合によっては,間接強制を経ずに直接強制を選択できるようになりました。そして,執行官による直接強制の方法についても,詳細な規程が創設されました。新たに創設された規定では,子の引き渡しを執行する場所が,子の引き渡しをしなければならない親が,必ずしも存在しないような場所でも可能とされました。
改正後の民事執行法に基づく子の引き渡しの直接強制であれば,子の引き渡しが実現される可能性が広がるのではないかと期待されています。
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