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内縁とは、民法の婚姻の成立要件である婚姻の届出がないために正式な夫婦とは認められていないものの、当事者の意識や生活実態において事実上夫婦同然の生活をする男女関係をいいます。
内縁として、法的に婚姻に準じる扱いを受けるためには、
という要件を充たす必要があります。
単なる恋愛関係、婚姻意思はあっても共同の生活をしていない婚約状態、共同の生活はしていても婚姻意思のない愛人関係などは、通常は、内縁としては認められません。内縁が成立しているといえるかどうかは、具体的には、共同生活の期間、生計が一つか否か、共有財産の有無、子どもの有無、子どもを共同で養育しているか、婚姻届を提出する意思があったか、外部に対して夫婦として振る舞っていたかどうかなど、様々な要素から判断されます。
「同居期間が5年を超えたら内縁になりますよね?」などという質問を受けることがありますが、同居期間だけで内縁が判断されるのではありません。現に、夫婦と同様の認識をもって約16年間双方の居所を行き来してきたような場合、つまり同居はしていないケースについて、内縁を肯定した判例があります(大阪地判平成3年8月29日)。他方、同居期間が長くとも、当事者間に婚姻意思がなければ、内縁が成立しているとはいえません。
単なる交際関係ではなく、婚姻している夫婦同然である場合に、婚姻届という形式的な手続を経ていないだけで、一方的に関係を解消できるとするのでは、不合理な結果を招く場合が存在します。
そこで判例上は、内縁について、法律上の婚姻に準じる関係として、法的保護の対象としています。
内縁と認められた場合には、法律上の婚姻に準じて、以下の権利・義務が生じます。
民法752条は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定めています。内縁にも、同条の規定が準用されます。
夫婦は互いに貞操を守る義務を負っています。民法上には明文規定はありませんが、離婚原因を定める民法770条1項1号において、不貞行為は離婚原因の一つとされています。
民法760条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定めています。内縁にも、同条の規定が準用されます。
民法761条は、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対して責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。」と定めています。内縁にも、同条の規定が準用されます。
民法768条は、
1項 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2項 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3項 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
と定めています。内縁関係を解消する場合には、判例上、婚姻で定めている財産分与規定の類推適用が認められています。
残念ながら、内縁の配偶者に相続権は認められません。
最高裁平成12年3月10日決定により、「内縁の夫婦について、民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得るとしても、死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは(中略)法の予定しないところである。」とされました。
亡くなった内縁の配偶者に法定相続人がいない場合には、生存配偶者について特別縁故者(民法958条の3)として相続財産の分与が認められる余地がありますが、法定相続人がいる場合には特別縁故者に対する分与は認められていません。したがって、生存配偶者が亡くなった場合に生存配偶者に遺産を遺すためには、あらかじめ生前贈与をしておくか、遺言を書いて遺贈をするなどの手段を講じておくしかありません。
内縁の生存配偶者には、亡くなった内縁の配偶者の相続権がないため、賃借権も相続することができません。この問題について、判例上は、内縁の生存配偶者の借家居住を保護するため、次のように解釈しています。
ア 内縁の生存配偶者は、同人の相続人が相続した借家権を援用して明け渡しを拒むことができる(最判昭和42年2月21日)。
イ 内縁は婚姻に準ずる関係であるから、借家権を相続しなかったことを根拠に相続人が明け渡しを要求するのは権利濫用である(最判昭和39年10月13日)。
したがって、内縁の生存配偶者は、賃借権を相続できなくとも、そのまま住みつづけることが可能です。
死亡退職金の受取人については、退職金規程で定められているのが一般的です。通常、第一順位は「配偶者(届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の関係にある者を含む。)」となっていることが多く、この場合には受け取ることができます。多くはないですが、受給権者を相続人と定めている場合もあり、この場合には受け取ることができません。また、受給権者が定められていない場合には、一般原則に従い、相続人が受給権を有することになるため、この場合にも受け取ることができません。
内縁は、法律上の婚姻に準じますから、内縁配偶者が内縁関係を一方的に解消する場合には、民法に定める離婚理由に準ずる要件が必要です。正当な理由がないのに、内縁を破棄された場合には、その相手方に対して慰謝料を請求することができます。
慰謝料の金額は、内縁関係の期間、内縁破棄の理由、精神的苦痛の程度、子供の有無、年齢、社会的地位、支払う側の資力、内縁破棄後の生活状況などが考慮され、一概には判断できません。
不貞が原因で内縁解消になった場合のように、第三者(不貞相手)にも責任がある場合には、第三者に対しても慰謝料請求することができます。
内縁破棄で慰謝料請求する場合、相手方から「単なる交際関係で内縁ではない」と主張されることが往々にしてあります。ですので、単なる同棲ではなく、内縁関係であることを証明する必要があります。
内縁関係を証明する方法としては、続柄に夫(未届)、妻(未届)と表記されている住民票、配偶者もしくは内縁の妻と書かれたマンションの契約書、被扶養者となっている健康保険証、定期的に生活費が送金されていることを示す通帳、宛名が連名になっている郵便物、結婚式を挙げている場合には写真などが考えられます。できるだけ客観的な資料が望ましいですが、なければ両親、親族、知人・友人の証言でも有効な場合があります。
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