離婚相談に詳しい奈良の弁護士ならナラハ奈良法律事務所 TOP > 女性のための離婚相談 > モラル・ハラスメント > モラハラで離婚するにはどのような証拠が必要ですか?
モラルハラスメントは、ドメスティックバイオレンス(DV)のうちの精神的暴力に区別できます。ドメスティックバイオレンス(DV)とは、配偶者や恋人など、親密な関係にある人から振るわれる暴力のことをいい、この暴力には、身体的暴力のほか、精神的暴力、性的暴力、経済的支配、社会的隔離などが含まれます。モラルハラスメントは、殴る・蹴るといった暴力ではないので、夫または妻からモラハラを受けているかどうかは、自覚しにくいです。
それでも、あなたが、モラハラを受けているかもしれないと気付いたら、モラハラ加害者と離婚した方が良いかどうか、考えるようになるでしょう。
不倫でしたら、当事者間のSNS、写真や動画などの証拠から、明らかすることができます。また、暴力も、怪我の写真や診断書などの証拠から、明らかにすることができるでしょう。他方、モラハラは精神的な暴力ですので、見た目には分かりにくいのが特徴です。
それでも、近年、SNSの発達により情報のやり取りがさかんとなり、以前に比べ、各所にモラハラの証拠が存在している状況となっています。例えば、次のようなモラハラの証拠があるでしょう。
これが、相談者の方が最も入手しやすい証拠といえるのではないでしょうか。モラハラ加害者は、自分がモラハラ加害をしていることの認識がないか、あっても非常に薄いため、普段のやり取りで、モラルハラスメントを繰り返していることが明らかにできることがあります。
ラインやメールの中で、「俺は正しい。お前はできない。」「バカ」「死ね」「誰の金で生活できると思っているんだ。」といったもののほか、ひどいケースになると、「このままですむと思うなよ。」「身の回りに用心してください。」といった脅迫めいたものまで、ラインやメールのやり取りは証拠の宝庫です。
SNSが発達した現在でも、いまなお、手紙やメモが用いられることがあります。モラハラ加害者が書いたものは、内容によって、モラハラの証拠となります。
モラハラ加害者との会話を録音したり、動画で撮影したりすることができれば、これらももちろん有力な証拠になるでしょう。
録音や動画撮影は、以前より容易にできるようになりました。モラハラ加害者が長時間怒鳴りっぱなしであるとか、その言動、態様により、モラハラの有力な証拠となります。
録音や動画撮影するにあたっては、一部のみではなく、全部撮るようにしてください。後日、恣意的に一部分のみ取り上げた、モラハラ加害者に仕立て上げられた、などと反論されないためです。
録音は裁判所では原則として聞いてもらえませんので、反訳して文字化することが必要です。費用を支払って業者に依頼することもできますし、お時間があり、また、嫌でなければ、とりあえずご自身でしていただくこともあります。文字起こしの支援ソフトなどもあるようです。
これまでご説明してきたもの以外にも、ご自身で書いたメモや日記、親族や友人に送ったラインやメール、ケースによっては心療内科でのカルテ、女性センターでの相談記録などが証拠になります。
まずは、協議離婚できるかどうか、相手と話し合いを行うことになるでしょう。もっとも、話し合いができないか、話し合いをしても離婚の合意に至らなかった場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、裁判所で話し合うことになります。家庭裁判所の調停でも離婚できなかった場合には、離婚訴訟を提起することになります。離婚訴訟では、民法770条の離婚事由を満たすかどうかが判断されます。
民法770条1項は、「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。」と定め、1号から5号まで次のような離婚事由を挙げています。
民法770条2項は、「裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。」と定めています。
モラハラ被害を受けているということは、民法770条1項1号から4号の中にはありませんので、5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するかどうか検討する必要があります。
2でご説明したモラハラの証拠に加え、相当期間の別居等の他の事情も考慮されて、5号に該当するか否かが判断されることになります。モラハラの証拠があればそれに越したことはありませんが、十分に揃っていなくても、他の事情も加味すれば離婚できる可能性があります。
あなたが、モラハラ加害者との離婚を希望されるのであれば、モラハラの証拠を集め、あるいは、既にあるものを保存することが必要です。できれば早期に弁護士にご相談いただき、法的なアドバイスを受けていただいた方が良いでしょう。なお、弁護士には守秘義務があり、弁護士に相談した内容が、相手に漏れることはありません。また、弁護士があなたの意向に反して、弁護士に依頼するよう勧誘したりすることは、一切、ありません。
モラハラを受けている方は精神的なダメージが大きく、相手と対等の立場にたって離婚を進めることが難しいのが実状です。モラハラの証拠集めも、モラハラ夫がいる中で、現在のモラハラのみならず過去のモラハラにも直面しながら進めることになりますので、大変な精神的苦痛を伴うことでしょう。
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